ある所で頂いたリーフレットに「我慢しろなんて言わないで」という一文があった。なるほど・・と思い、彼岸の度に引っ張りだす。
「近頃の若者は我慢を知らない」こんな声が集団で話すおばさんたとから言われている。
「我慢は美徳」といわれた時代に生きて来た人々にとって、現代の日本はあまりにも裕福すぎ、もの余りに見え、その中に徘徊する若者は「我慢を知らない」という言葉で表現されてしまうのかもしれない。
でもこの「我慢を知らない」という言葉、よくよく注意して使ったほうがいい。
「我慢」とは本来仏教語である。そして仏教語としての「我慢」は、今使っている意味と正反対の意味である。「我慢」は「七幔」の中のひとつで、自分に執着し、おごりたかぶることを意味する。つまり「我慢」は、してはいけないこと、よくないことといわれている。もともと「幔」は他人と比較すること自体をいさめた言葉である。
他人のことをとやかく言う前に、己のするべきことをしっかりなせという教えが仏教である。
他人に対して「我慢せよ」などと言う前に、自分自身のことを反省し、深く見つめる時間を作りたい。
それが季節のいいお彼岸の過ごし方ではないだろうか。
